【地方ホテル、働き手が集まらない?】 ― 採用難の今だからこそ見直したい、“人が定着するホテル”のあり方 −VOL.27
観光需要が回復し、新たなホテル開業が各地で進んでいます。
その一方で、現場から聞こえてくるのはこんな声です。
「応募が集まらない」
「採用できても、長く続かない」
いま、地方ホテルの“人材不足”は多くの現場で共通する課題になっています。
けれど、この状況は本当に“ピンチ”だけなのでしょうか。
見方を変えると、そこには次の一手につながるヒントも隠れています。
「開業できても、人がいない」現場のリアル
「地方で新規ホテルを開業するが、採用が思うように進まない」
最近、そんな採用担当者の声を耳にする機会が増えました。
リゾートホテルや温泉旅館の開業が続く一方で、人材の確保が追いつかず、
・既存スタッフの兼務が増える
・残業で現場を回す
・教育に手が回らず、早期離職につながる
といった負担の連鎖が起きています。
サービスの質は維持したい。
でも人が足りない。
そのはざまで、現場は静かに消耗しているのが実情です。
なぜ地方ホテルは人手不足になりやすいのか
地方ホテルの採用が難しい背景には、いくつかの要因があります。
・都市部と比較した給与や待遇の差
・交通アクセスや生活環境への不安
・「地方=キャリアが広がりにくい」という先入観
特に最後の“イメージ”は、実態以上に影響していることも少なくありません。
ただ、本当にそうなのでしょうか。
地方ホテルで働くという選択が持つ価値
視点を変えると、地方ホテルには都市では得にくい魅力もあります。
● 地域と関わる仕事
地元の食材や文化を、サービスとして形にできる
● 幅広い経験ができる環境
少人数だからこそ、複数業務に関わり成長スピードが早い
● 自然とともにある暮らし
海や山、四季の変化を感じながら働ける
● キャリアのチャンスが広がりやすい
若手でも裁量を持ちやすく、早期のステップアップも可能
実際に、地方での経験がその後のキャリアの“軸”になっている方も増えています。
人が集まるホテルは、何を変えているのか
同じ“地方ホテル”でも、人が集まり定着する職場には共通点があります。
● 教育とフォローの仕組みづくり
入社後の不安を減らし、早期離職を防ぐ
● 働きやすさへの投資
寮や福利厚生、シフトの柔軟性を整備
● 採用広報の工夫
SNSや動画でリアルな現場の魅力を発信
● 地域と連携した採用
移住支援や自治体との協働で新しい人材の流れをつくる
「人が来ない」と嘆くだけでなく、“来てもらう理由”をつくっているかどうか。
その違いが、採用と定着の差として現れています。
まとめ|“人が集まらない”は、変わるきっかけになる
地方ホテルの人手不足は、たしかに簡単に解決できる問題ではありません。
けれどその一方で、働き方や組織のあり方を見直すきっかけにもなっています。
人を大切にする仕組みが整えば、働く人の表情が変わり、その空気は自然とお客様にも伝わっていく。
ホテル・人・地域。
それぞれがゆるやかにつながりながら、価値を高めていく。
“人が足りない”という現実の中にも、次の可能性は、すでに静かに動き始めています。
※参考文献:観光庁「観光人材プラットフォーム」/宿泊業の人材確保・定着に関する事例集 https://kanko-jinzai.go.jp/cases/ (参照:20251104)
